誰もが共通する認識として、年齢と共に1年経つのがどんどん早くなってきますよね。もう10月中旬!?って感じです。医師としては花粉症の患者さんを診察すると春を感じ、インフルエンザワクチンの接種を開始すると秋から冬の訪れを感じます。Q&Aにもコメントしていますが、今年は特にインフルエンザワクチンを接種して頂きたいと思っています。
さて透析導入前の患者さんや透析中の患者さんは、ほぼ例外なく少なくないお薬を飲んでいると思います。なぜなら、腎臓が悪くなる原因として、糖尿病や高血圧といった生活習慣病が関わっていることが多くそれらをコントロールするお薬や、血をサラサラにするお薬やその薬の副作用を抑えるための胃薬など、どんどん内服するお薬の数が増えていく傾向があるからです。
その中でもカリウムやリンの数値を下げるお薬は他のお薬と比べ、一般的に量が多かったり、大きかったりして飲みにくい事が多いのではないでしょうか。これらのお薬は主に余分なカリウムやリンを吸着して体外に出す作用が中心となるので、どうしても効果を得ようとすると量や数が多くなってしまうのです。
一部のデータでは、処方されたお薬のうち、70%ぐらいしか服薬できていないという報告があります。お薬は、ほんの数パーセントの効果を上げるために必死で新薬を開発しているケースもあります。それなのにきちんと内服出来ていない事によってその効果が十分に発揮出来ていなかったとしたら残念ですよね。
すごくたくさんの薬を内服してもらっているのに数値が良くならない患者さんに、「残っている薬があったら今度持ってきてくれませんか?」とお願いすると、山の様なお薬を持って来られる方がいらっしゃいます。これは悪い事ではなく状況を改善する第一歩なのです。飲めていないのにはいろいろな理由があります。確かにその薬の必要性が十分に理解してもらえていない場合もありますが、それ以外にも透析時間の関係で昼食を食べていなかったので昼食後の薬を飲んでいなかったり、例えば食前の薬というのは誰しも飲み忘れやすいものですので残ってきたりします。
これらの服薬状況は患者さん側だけの問題ではありません。前述のカリウムやリンのお薬は飲みにくいものです。初めて処方したなら頃合いを見計らって「新しいお薬、少し大きいですが飲みにくくないですか?」と一言確認すれば、「そうなんですよ」等、患者さんとの間にコミュニケーションが取れ、種類を変えてみたりして服薬の達成率を上げることも可能になるのです。
もしお薬が何らかの理由できちんと飲めていないのであれば、「せっかく処方してもらっているのに先生に悪い」などとは思わずに、是非主治医の先生に相談してみて下さいね。