透析している間もマスク着用が理想

西原クリニック 人工透析 転院

暑い日が続いていますね。

それでも通り雨の後や、夜風の感じはわずかですが涼しくなっている気がしました。もう少しの辛抱ですね。

さて、以前に透析をしている間もマスクを着けておいた方が良いでしょう、という話を書きました。マスクには、大雑把に言って2つの効果が期待出来ると思います。1つは自分自身が感染しないために守ってくれる役目があります。もう1つは他の人にうつしてしまわない役目です。まだまだ解明されていない事が多い新型コロナウイルスですが、一部の報告では、明らかな発症をしていない人や、極めて軽症の人も他の人にうつしてしまう感染源となってしまう可能性が示唆されています。となると、自分がかかっているとは気づかずに、知らないうちに他人にうつす事もあり得る訳です。そういう事の連鎖で大阪だけではなく、日本中、ひいては世界中への感染拡大の原因になりますので、私達が新型コロナウイルスの終息を真に願うのであれば、他の人へ感染させない努力が必要で、マスクはその役割を果たしてくれる重要なアイテムの1つと言えるでしょう。

今でこそマスクを着用していない人の方がまれになっていますが、世の中の人がこんなにマスクを着けるようになるなんて数か月前には誰も想像出来なかった事でしょう。医師ですら、以前はマスクを着けて診察する先生の方が少数派だったと思いますが、実は私はかなり早くから診察時にマスクを着けていました。何も先見の明があった訳ではなく、若い頃、外来診療をしているとどうしても風邪などの感染症をもらってしまう事があり、少しでもそのリスクを減らしたい、という思いからマスクを着用するようになりました。風邪やインフルエンザの患者さんの正面に座り、口を開けてもらってのどをみたり、深呼吸してもらいながら胸の音を聴診したりする行為はかなり危険を伴います。マスク以外にも手洗いの徹底や、食事や睡眠をきちんととるように心掛けたせいもあるとは思いますが、結果的にマスクを着け始めてから風邪などを引く回数は激減したので、一定の効果はあるのだと思います。

しかし一方で患者さんからすると、当時マスクを着用するのは手術中の先生ぐらいのイメージしかなかったのか、批判を頂いた事も何度かありました。お叱りを受けるパターンには2つあり、人と人が話をするのにマスクをするのは失礼である(帽子やサングラスを外さないのと同じように)、というパターンと、もう1つは「俺をバイ菌扱いする気か!何かうつすと思っているのか!」というパターンです。今はそんな事をおっしゃる人はいなくなりましたが、当時はそういう考えの人もいらっしゃいました。「私自身が感染して診療出来なくなったり感染源になったりしないようにという配慮からなのです、不快な思いをさせて申し訳ありません」と説明し御理解頂いた記憶があります。

あ、これはマスクあるあるなのですが、最近私服で院外を歩いていると、患者さんがすぐ私だと気が付く事が多くなりました。不思議に思っていたのですが、それは診察の時以外でもずっとマスクを着用しているから雰囲気が同じなのですね。以前は院外を私服でマスクを着けずに歩いていると、診察室と印象が違うようで気が付かれない事が多かったのです。

さて、毎年行われている大きな透析の学会が今年は大阪で行われる予定だったのですが、今年は延期になりました。透析医療の世界も大きな影響を受けていますが、どんな状況でも医学は進歩しています。「当時は大変だったね」と振り返れる世の中が早く来るよう願いながら日々の診療を頑張っていきます。


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